« TG0022: ヴァチカンのペンダント | メイン | ソウル »

December 05, 2005

新しさ

新しさについて考える。新しさには社会的新と個人的新がある。社会のそれは、ある社会的な領域、たとえば政治の分野でこの政治家が新しいだの、映画監督は今なら彼だろうとか、現在もっともおいしいものを作れるのはフレンチならこのシェフだとかがそれにあたるかもしれない。いっぽう個人的新とは、自分がそれまで培ってきた経験則や精神、哲学を通じて自分自身の歴史の次に来る新しさの発見に努力し達成することだろう。表現、とくに芸術にとって大切な要素はこの両面の達成ではないだろうか。なぜなら芸術は社会的なモラルを打ち砕き新しい基準をつくる可能性を秘め、人間にとって新しい人間らしさ、新しい人権を開拓する使命をおびているからだ。新しい人権を開拓するには個人の進化を欠かすことはできない。過去を破壊するのではなく、既存の善悪を理解しそこに則るからこそ見つけられる真の新しさがある。絶えず社会的新とは突然現れるのではなく個人的新に立脚するものであり、それを理解せず自分が社会の中で新しいと思う人間は、自分が思うよりも知識と経験が不足し、その不足を理解し認める知性に欠けているのである。歴史上、偉大な芸術家は老齢でなお人類にとって新しかったことがその証であろう。

投稿者 isao tsuge : December 5, 2005 11:20 PM